本プロジェクトでは、『日常歩行』をテーマに据え筆者が日々歩行をした記録を、科学的な探求心(および暇つぶしの精神)に基づきまとめた。実験設計、目標設定、結果分析、そして結論を精密に(または適当に)述べることで、読者の知的好奇心と運動意欲をくすぐることを狙う。
序論: 実験の背景と目的
毎日歩くメリット、調べればいくらでも出てくるけど、実感。実感したい。目に見えて、体で感じるメリットが知りたい。
無職になり、自由にたっぷり時間を使える私、1ヶ月毎日、真剣に歩きました。平均毎日13,000歩、時間にすると1時間40分と、たっぷり。
鞄も持たず、姿勢が正せるコンディションで。ウォーキング用のシューズで。真剣に。
よく聞く、毎日歩くメリット。
「毎日歩くメリット」で検索をかけてみると、痩せる、体力がつく、筋力がつくなど、肉体的な変化を期待するだけでなく、精神的な健康面の向上や、集中力の改善といった、内面の良い変化にも言及がされている。
他にも、血糖値のコントロール、骨密度のアップなど、個人で測定するのは難しい項目でも改善があると、述べられている。
歩くことで解決すると期待していた悩み。
以上のように、様々な面に良い効果があると期待される、毎日ウォーキングですけども、改善を実感したい、ということで具体的な悩みの解決を設定して、変化があるのかに注目しながら実験に挑む。
参考にした、歩き方の改善に関する情報。
並べてみた悩みのうち、首の姿勢・ペンギン・うち股・歩く遅さ・前もものはりが、「正しい歩き方」で改善すると期待していたので、「正しい歩き方」について調べ、実験中も練習・調整。
正しい歩く姿勢
特にこの3つの動画が、どこへ意識を向けながら歩き方を改善するべきか、という点に置いてわかりやすかったのでご紹介したい。
こちらの動画は正面からの正しい歩き方も見せてくれていたので、足を前に繰り出したときに膝の向きがまっすぐになる、足の運び方の感覚がつかめるように、鏡の前で練習するのに役立った。
こちらは、画角は横向きで正しい歩きを見せてくれ、お尻の筋肉を使って歩くことで、歩幅が大きく取りやすくなること、つま先が地面を押し出すとちょっとバウンス感覚についてが特にわかりやすかった。(Youtube翻訳機能ONにして見てくださいね!)
それから正しい頭の位置、の感覚を掴むために、この動画も参考に。
ちょっと機械的な翻訳字幕だが、8:26辺りから、丁寧に図解されている。
どのくらい歩くのか
良い効果を期待できるとされるウォーキング時間は、4,000から10,000歩。1万歩以上は歩きすぎ、など、インターネット上の情報では、ばらつきがある。
今回の私の実験では、楽しく続けたいとも思ったので、自然の景観、川沿いなどを含め、かつ、歩くのに集中できるように、車や人通りの少ないところでルート構成したところ、1時間40分くらいに。
時間があるので。自由があるので。贅沢にも、朝から1時間40分ほど歩いた。
実験の経過観察
.1 実験開始〜1週間。
1日目、明らかにいつもと違う筋肉を使っている感覚。気を抜くと、普段の歩き方に戻ってしまうので、イヤホンをつけず、ひたすらに姿勢のことを意識して歩く。
2日目に1番ひどい筋肉痛。
普通に歩くと、足が離れてペンギンになってしまう私。
先述紹介した動画で説明されていた通り、内股の筋肉を使っていなかったらしく、たった1日、膝をまっすぐ前に出す意識をしただけで、内ももに効いた。
筋肉痛は1週後にはなくなる。痛みと、弱っていた筋肉を使う感覚を頼りに姿勢を改善しながら歩いていたので、痛みがなくなってくると、姿勢の意識の仕方がわからなくなった。頭の位置や足の使い方について再度調べ直し、今度はももの裏も使うように意識する。
足の甲に腱鞘炎みたいな痛み。生理中、どっかしら腱鞘炎になるのは、いつものことだったので、様子をみて、実験を継続。
朝から気分が憂鬱だなという日は、確かに歩くことで気分の改善が見られた。前向きになった日も。即効性がある。
朝は、犬を散歩させている人との、挨拶が頻繁に交わされ、毎日犬と戯れられるというボーナスによるかも。
2週間目
毎朝歩くのに出かけるのが楽しくなる。早く起きて、出かけて帰ってきてもまだたっぷり時間がある、帰ってくるとやる気が高まっていて、作業をしたいという気持ちに。午後早い時間まで集中力が高いまま過ごせるので、効率が上がって充実する。味をしめて、翌日も出かけたくなる、いいループに。
ちょうどこの頃、生理明け。普段から、この時期は機嫌よく過ごしていので、やる気が出るのは、歩いている効果なのかに注目する。
姿勢を正すのに慣れてきて、1時間40分がもったいなく感じてくる。鳥の鳴き声を聴かせると、種類を教えてくれるというアプリ(:Merlin Bird ID)をかざしながら歩き、小さな鳥を目を凝らし探す。
英語のオーディオブックを聞き始める。本に集中しすぎると、姿勢が崩れ、姿勢を正すことを考えていると、内容が入ってこない。の繰り返し。なるべく姿勢を優先して、何度も巻き戻しながら、聴き続ける。
3週間目
いつから起きていたのかわからないが、鏡を見たら、鎖骨がはっきりと出ている。丸くなって前に出ていた肩の位置が変わって鎖骨が出てきたように見えました。鎖骨が浮き出ているのを久々にみてぎょっとした。
歩いている最中から、気分が悪い、イライラする日があった。これは生理周期で言う排卵日前後のいつもの症状で、この日は改善せず。
姿勢を正すのは、すっかり慣れ、1週間前には、頭を正しい場所に持ち上げるのを重たく感じていたのが、軽く後ろに引っ張る程度の力で直せるように。
4週間目〜最後
最後の頃になると、1時間40分のコースを1時間半で歩くように。
足の痛みはどこにも確認できず。
以前はたくさん歩いたときには、前太ももが疲れるのを感じていが、足が疲れにくくなった。
英語の聞き取り能力が上がり、巻き戻す回数が激減。これは、歩いていると集中力が上がるから、なのか?でも、思えば何にも邪魔されず、ただ真剣に聞く時間を作れてなかったな、と歩くことで気づいたのは確か。
正直、疲れてきた。(笑)最後の1日は、せっかく実験しているのだから、という気力で歩いた。
実験結果
解決したかった問題1つ1つに、どんな結果が現れたかを観察。
結論
多分毎日13,000は歩きすぎ。気力の高まりよりも疲れが上回ったことも。しかし、毎日歩くことのメリットは、努力に対してリターンが大きい。
これからも、毎日をターゲットに、疲労度が高い日は見送りつつ、続けたい。1時間くらいでも、同じ効果が得られるのか、次なる実験をしたい。
また、足が細くなるのは、打ち止めなのか、歩くだけでまだ細くできるのか。
両足を骨折してから鈍足になっていた私にとって、早く歩けるようになったことは、ようやくの完全回復と言える。感動。
改善したあらゆることをさておいて、自然の中を歩くことに楽しさを見つけたことが一番嬉しい。時には、鳥を探すのに夢中で、立ち止まりすぎて、あまりエクササイズの効果を感じない日も。
思わぬ良いこと
本研究は単一の被験者(筆者)を対象としているため、結果の一般化には慎重を要する。また、心理的影響については主観的な報告に依存している点も課題として挙げられる。歩行はただの移動手段ではなく、生活を豊かにする鍵であることを再認識するきっかけとなった。本研究を通じて、歩行の可能性を追求する新たな挑戦が広がることを願う。
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